東戸塚の歯医者、プルメリア歯科クリニックのブログです。
12月も半ばを過ぎ、年末に向けて忙しさを感じる時期となりました。
温かい食事がいつもよりおいしく感じられる季節ですが、みなさんはどんな姿勢で食事をしていますか?
実は毎日の「食べ方」や「座り方」が、噛む力や歯の健康に影響しています。
今回は、意外と見落としがちな“食事中の姿勢”と“お口の健康”との関係についてお話しします。
足が床についていないと噛む力が下がる?
東京医科歯科大学などの研究では、足が床につかない状態で食事をすると、噛む力が約15%も低下することが明らかになっています(※1)。
足が浮いていると、体幹が不安定になり、しっかりと咬筋(噛むための筋肉)に力が入らなくなるためです。噛む力が弱まると、
- 食べ物がしっかり咀嚼できず、消化に負担がかかる
- 顎の関節や歯に不自然な力がかかる
- 噛み合わせや顎のゆがみにつながる
といった影響が出てくる可能性があります。

姿勢の乱れはむし歯や歯周病にも影響?
足が浮いた状態での不安定な食事姿勢は、噛み合わせのバランスや、歯の接触の仕方にも影響を与えることがあります。
歯並びがずれたり、片側だけで噛むくせがつくことで、歯ブラシの届きにくい場所が増え、むし歯や歯周病のリスクが高まるのです。
さらに、姿勢が悪いと唾液の分泌量にも影響が出るという研究報告もあり、ドライマウス(口腔乾燥)や口臭の原因となることもあります。
正しい食事姿勢のポイント
では、どのような姿勢が理想なのでしょうか?
以下を目安に、まずはご自身の食事環境を見直してみてください。
- 足の裏がしっかり床につくこと(つかない場合は足台を使用)
- 背筋を伸ばして座ること(背もたれに頼りすぎない)
- 肘と膝がほぼ直角になる高さの椅子とテーブルを使うこと
- 食事中にスマホを見ない、テレビから離れる(集中して咀嚼できるように)
これらはお子さまだけでなく、大人にも当てはまる大切な習慣です。
姿勢を正すだけで、噛む力が安定し、食事そのものの満足度も高まると感じる方も多いようです。

姿勢の見直しは、体全体の健康にもつながる
食事中の姿勢を整えることで得られるのは、お口の健康だけではありません。
よく噛むことで脳が活性化され、認知機能の維持にも役立つと言われていますし、正しい姿勢は肩こり・腰痛の予防にもつながります。

特に在宅ワークやスマホ時間が長い現代では、知らず知らずのうちに姿勢が崩れ、噛みしめや顎の不調を起こしている方も増えています。
まずは「食事中の姿勢」から整えてみることが、健康維持の第一歩になるかもしれません。
まとめ
食事中の姿勢は、見落としがちな「お口と身体の健康の入り口」です。
足が床につかない不安定な姿勢は、噛む力の低下だけでなく、歯並びやむし歯・歯周病のリスクにも影響します。まずはご家庭での椅子や足元を見直してみましょう。
気になる噛み合わせや顎の違和感があれば、お気軽にご相談ください。
📚 参考文献
※1:田村文誉ら「足の支持が咀嚼力に及ぼす影響」(東京医科歯科大学大学院)